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〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき
津田左右吉歴史論集
津田 左右吉
線上閱讀津田 左右吉《津田左右吉歴史論集(〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,004 字 · 156 頁
読んだことはあとからあとから忘れてしまうので、そのままの形では殆ど頭に残らなかったが、ただそれによってぼくの思想を養うには何ほどかのやくにはたったと思う。これと関聯したことであるが、そのころ西洋の音楽をきくことのできる唯一の機関であった明治音楽会の演奏を欠かさず聴きにいったことも、思い出される。この音楽会では第二部として日本の俗曲を演奏することになっていたので、いろいろのそういうもの、たまには平家琵琶などをさえきくことができた。宮内省の楽部の雅楽の演奏、九段の能楽堂で演ぜられた能や狂言も、できるだけ見にいったことを附記しておく。歌舞伎はたびたびは見なかったが、これは費用がかかるからであった。造形芸術の方では、博物館やときどき開かれる展覧会などのおかげを蒙った外、『国華』のようなもので複製品を見ることを楽しんだ。
こんなことをしているうちに、ぼくの学問に新しい道の開かれる一つの機会が来た。四十(一九〇七)年のことであったと思うが、そのころ東京帝大の教授であられたシラトリ先生が、満鉄から費用を出させて、その社内に満韓史の研究室を作られたので、そのおてつだいをすることになった。