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〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき
津田左右吉歴史論集
津田 左右吉
線上閱讀津田 左右吉《津田左右吉歴史論集(〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,004 字 · 156 頁
ところが上代のことを考えるには、世界の諸民族の神話や、上代の宗教民俗、社会組織など、そういうことに関する現代の学問的研究の状況を一わたり頭に入れてかからねばならぬと考えたので、始めのうちは、それらのことについての書物を読むのに、かなり多くの時間と力とを用いることになった。さて、こういうようにして、明治維新ころまでの文学思潮の変遷についての一応の見当が、どうかこうかついて来たようであったから、試にその初期の部分を書いてみようとしたのが、大正のはじめのころであったかと思う。ところが、書きかけてみると、また考えなおさねばならぬことがいろいろ起って来たり、どういう形でどういう書きかたをすべきかに迷いもしたり、そういうことで筆が進まず、どれだけか書いたものを一たん反古にしてしまった。そうして更に初から書きなおしたのが、多分、二年か三年かのことであったろう。そうして四年のいつころであったか、ともかくも「貴族文学の時代」一篇を書きあげ、引きつづいて「武士文学の時代」に手をつけた。そうして「貴族文学の時代」は五年になって世に出すことができた。それから六年に「武士文学の時代」