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あさまふんかこう

浅間噴火口

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《浅間噴火口(あさまふんかこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,938 字 · 24 頁

青空文庫

タカは鋭い一声をたてて逃げてきた。キヨが、打震えてるタカと手を取りあい寄りそって、そっと覗きにゆくと、果して、窓の上の鴨居からぶらりと下っていた。足がないし、頭がないし、よく見ると、泥まみれの李の外套だった。それでも気味がわるく、二人は正枝を起しにいった。

正枝はいきなり玄関の中の電灯をつけた。明るくなってみると、下ってるのはただの汚れた古外套だった。椅子を持って来て取りおろさした。鴨居にあるのは小さな錆び釘で、正月の輪飾りをかけた残りのものだった。

正枝は腹をたてて、外套を持っていった。

終日、李は物も食べずに寝ていた。八度ばかり熱があると云った。

晩になると、正枝はキヨを李の室にやった。解熱剤をあげるから来なさい、というのである。

李はおとなしく、着物にきかえ、褞袍をひっかけて出て来た。片肱を長火鉢にもたせ煙管で莨を吸ってる正枝の前に、恐縮したようなお辞儀をした。

正枝はまず解熱剤をのませておいてから、いきなりやりこめた。

「なんですか、昨夜のざまは。」

「済みません。昼間雪が降ったから、嬉しくなって……。」

正枝は眼を瞠った。

「夜はもう解けてましたよ。