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ふどうするちか
浮動する地価
黒島 伝治
線上閱讀黒島 伝治《浮動する地価(ふどうするちか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,079 字 · 29 頁
庄兵衛も作右衛門も、藤太郎も、村の自作農の半分はそういう、つらいやりくりであえいでいた。それが、息を吹きかえしたように助かった。地主はホク/\した。卯太郎は、いつか五千円で町に近い田を売って、そのうちの八十五円で畠を買った。その畠が、また今度、鉄道の敷地にかゝっていた。
「貧乏たれが、ざま見い。うら等、やること、なすことが、みんなうまくあたるんじゃ。わいら、うらの爪の垢なりと煎じて飲んどけい。」
彼は太平楽を並べていばっていた。
「何ぬかすぞい! 卯の天保銭めが!」
麦を踏み荒されたばかりで敷地となる田も畠もない持たない小作人は、露骨な反感を現わした。
「うちの田は、ちょっとのことではずれくさった。もう五間ほどあの電車道が、西へ振っとったら、うちにもボロイ銭が這入って来るんじゃったのに!」
と、残念がっている者もあった。
「伊三郎にゃ、あれだけ土地を持っとって、どうしたんか、相談でもしたように、はずれとる。」おふくろは、他人の事を嬉しげに話をした。トシエが逃げ返った仇をこゝで取っているような気持だった。「かゝっとるんは、たった一枚だけで、ほかは、角だけ一寸ふれとるんが、二たところあるばっかしじゃ。