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よくそうのはなよめ
浴槽の花嫁-世界怪奇実話1
牧 逸馬
線上閱讀牧 逸馬《浴槽の花嫁-世界怪奇実話1(よくそうのはなよめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,908 字 · 96 頁
この時から、「長い黒の外套」が秘かに捜査の焦点となったのだが、この「外套」は、ライオンスによれば米国訛りの口を利くという。
あのドルセット街の陋屋におけるケリイ別名ワッツ殺しの場合のような徹底した狂暴ぶりは、野獣か狂者でないかぎり、いかに残忍な、無神経な、血に餓えた人間であっても、人の皮を被っている以上とうてい示し得ないところと思考される。ここにおいて「斬り裂くジャック」は精神病者に相違ないとの見込みが、まず必然的に立てられたのだった。すなわち、病院か家庭の檻禁室を逃亡した狂人か、さもなければ、全快という誤診の下に退院を許された者、もしくは、じっさい一時全快して医者を離れ、その後再発したものの所業であろうというのだ。これはじつに、都会に猛獣が放たれているような、戦慄すべき想像だが、こういう、早まって退院を許された狂人の犯罪は、その例に乏しくない。が、これはようするに素人の臆測で、最初のリッパア事件突発と同時に、警察は早くもこの点に着眼し、全英はもちろん、広く欧州大陸から南米にまで照会の電報を飛ばして、精神病院の有無、退院した狂暴性患者のその後の動静などを集めたのだったが、その後たった一つ前回に掲げたモスコーからの通知があっただけで、なんらめぼしい手がかりは獲られなかったのである。