輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しせい
消えた受賞作 直木賞編
富田 常雄
線上閱讀富田 常雄《消えた受賞作 直木賞編(しせい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,806 字 · 36 頁
あれから、四年、五年……と、藤三は組んだ両腕の下の右指を折って見た。
*
二時に表を閉めて三十分、男湯はすでに人気がなく脱衣場の電気を消して、女湯の方へ廻った藤三が掃除にかかろうとすると、表戸ががたがた鳴った。如何に馴染みでも、こんな遅い客を入れる事が出来ないのは明瞭だから彼はざるを積み終って電気を消そうとした。
「開けて頂戴」
と、声が言った。藤三は答えず、スイッチを捻った。
「番頭さん、開けられないの」
「とうに閉めましたよ」
彼は無愛想に言い、暗い中を流しの方へ行きかけた。
「規則とでも言うのかい。笑わせるんじゃないよ、夜よ中、女一人でこんな暗い道を歩いて来て木戸を突かれて帰れるかい。電気は消えててもいいから、ざっと浴びさせて頂戴」
殆んど命令的な口調であった。この瞬間に、藤三は刺青の女を直感した。彼は黙って電気を点け、表戸を開けた。
「すいませんね」
と、ミチは白い顔を頷かせ、ピンクのワンピースの肩を突き出す様にして入り、下駄を脱ぐと、番台に金を置いて手早く洋服を脱いだ。
ミチが湯に入ってから、彼に礼を言って出て行くまで、藤三は殆んど夢中であった。