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きえたうつくしいふしぎなにじ

消えた美しい不思議なにじ

小川 未明

線上閱讀小川 未明《消えた美しい不思議なにじ(きえたうつくしいふしぎなにじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 8,038 字 · 16 頁

青空文庫

あのりこうなからすは、どうしたかやってこない。また、あの智慧のあるふくろうはどうしたか、とんと姿を見せない。あの二人がやってきたなら、そのようすは知れるだろう。」と、姉は独り言をしていました。

するとある日のこと、黒い森のかなたで、からすのなき声がしました。

「あのからすめがやってきたな。」と、姉は耳をそばだて、口もとに気味の悪い笑いを見せました。すると翼の音がして、大きな一羽のからすが降りてきました。

「よくやってきた。おまえのくるのを待っていた。下界のようすはどうだ。」と、姉はからすに向かってたずねました。

「私はちょうど三百歳になります。だいぶん年をとりました。前は百五十日めでここまできましたのが、二百十日もかかります。下界は、戦争があったり、地震があったり、海嘯があったり、また饑饉がありまして、人間は幾百万人となく死んでいます。けれど、まだなかなか滅びるようなことはありません。」と、からすは答えました。

髪の毛の長い、灰色の着物を着た姉は黙って聞いていましたが、

「おまえは下界を立ったのは、二百十日前だ。それまでにわたしは、どれほど砂や水をまいたかしれない。