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しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
線上閱讀海野 十三《深夜の市長(しんやのしちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 頁
何でしたの」
と尋ねた。
「ああ、今のは市長が自殺したというんだよ」
「あら、『深夜の市長』が自殺したんですか」
「『深夜の市長』が……。違うよ。本物の高屋市長がやったというんだ」
そうは云ったが、このとき妙な気がしないでもなかった。深夜の市長は昨日から行方不明を伝えられている。彼こそは本当の市長の化けたのであって、とうとう自殺してしまったのじゃないか――などと考えた。しかしそんな莫迦な筈があってたまるものではない。
市長自殺の号外は、なぜ発禁になったのか知らないが、これはまた一と騒動あるのではないかと思った僕は、不図気づき、公衆電話箱に飛びこんで、検事局の宿直室を呼んでみた。話中で暫く待たされたけれど、やがて向うの電話口に現われたのは、思いがけなく次席検事の雁金浩三氏だった。
「……おお、君は試補の浅間君か。それは恰度いいところへ電話して呉れたネ。ちょっと至急頼みたいことがある。直ぐこっちへ来て呉れたまえ。何処にいるの。……ナニ築地? それは幸いだ。円タクで駈けつけ給え」
雁金次席検事は、局内で僕の最も敬服する人物だった。その人から直々言葉を懸けられ、「直ぐ駈けつけろ」