輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
線上閱讀海野 十三《深夜の市長(しんやのしちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 頁
そうなるといよいよ進退は谷まってしまった。これではもう逃げても逃げなくても捕えられる! 僕はハアハアとあえぎながら、それでも走った。
「おい、こっちに逃げ道があるよオ。――」
唐突に、その家並の軒端と覚しきところから圧しつけるような声が懸かった。僕はその声に、飛びあがるほど驚いた。
「そっちへゆくと危い! 早くこっちへ入れ、こっちへ入れ!」
同じ声は、なおも続いてした。
ハッと思って、声のする方を見直すと、そこは炭屋らしく薪が山のように積まれていた。その蔭から、オイデオイデをして招く何者かがいた。
刑事かもしれないが……。
と僕は思ったけれど、僕の行く道はいずれにしろもう完全に封鎖されていた。この上は本当にも嘘にも、いま声をかけてくれた道一方しか逃げ場がないのだ。――僕はもう覚悟をきめて、
「おい、頼むよオ」
と叫んで、ヒラリとその薪の蔭へとびこんだ。
「おお、よし。――声を出すな。おれについて来い。こっちだこっちだ」
そういって先に立つのは、見たこともないルンペン態の鬚だらけの老人だった。しかしこの老人、年齢に似合わず力があって、いきなり僕の手を握ると、ズルズルと物蔭へ引張りこんだ。