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しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

線上閱讀海野 十三《深夜の市長(しんやのしちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 頁

青空文庫

押せば窓もスルスルと明いた。それを攀じのぼろうとしたが――ドッコイ、これア骨だ。……

これを上らなければ職務を遂行するわけにはゆかぬ。僕は二百三高地を攻撃するときのように、飛びついては墜ち、立ち上ってはまた飛びついた。

そのとき誰だか、僕の肩を掴んで、大声に話しかける者があった。やあ天の助けとはこの事だ。僕に力を貸そうという人間が降って湧いたのだった。ひょっとすると僕は、お伽噺に出てくる魔法ランプの持ち主アラジンではないかしら。

「おう、恰度いい。済まんが僕のお尻を持ち上げて呉れ給え」

「こーらッ。貴様は太いやつだ。警官の見ている前で、泥棒に入るとは何だ。俺は警官だぞ」

「ナニ警官だ。そりゃ都合がいい。……」

「なんだとオ。……服装はしっかりしているが……。貴様の住所が何処だ。商売はあるのかア。……」

「住所だ、商売だアというのかア。それなら名刺を呉れといえば話が早いじゃないか。さあ手を出せ一枚二枚三枚……もっと欲しいかア」

警官は名刺を見ると、打って変ったように温和しくなった。

「これは失礼しました。……」

「住所と商売が分ったら、早く僕のお尻をもちあげて呉れ」