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しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
線上閱讀海野 十三《深夜の市長(しんやのしちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 頁
「ああ、それは願ってもない幸いじゃないですか。失礼だが年齢を考えると、行って厄介になった方がいいですよ」
「莫迦を云え、お前も思いの外とんちきだな。誰が行ってやるものかい」
と、老人は意気軒昂として叫んだ。
「一体あれは何者です」
「何とか委員というのだろうが、あの達磨のように肥っていた奴が、有名な市会議員の動坂三郎という人物だ」
「えッ、動坂三郎……」僕は少からず驚いた。動坂三郎といえば、いまは市会議長の後釜に擬せられている人物で、その実力は測るべからざるものとされている。ただ商売が、さる大遊廓の持ち主であるため、実力は十分にありながら寧ろ市政の表面にはあまり出たがらなかったのであるが、近年どう悟ったものか、従来の消極主義を捨てて積極主義に転向し、しかもかなり目にあまるほどの振舞いが見えてきた。またそれだけに彼の門を叩きその幕下に馳せ参ずる者も増加し、その方面では凄い信望があるという人物だった。そのような人物がこの汚い土窟をわざわざ覗きに来るなんて、全く意味がわからない。
「市議の大立物たる動坂三郎が訊ねてくるなんて、変ですね」
「なに変でもないよ。こっちは『深夜の市長』