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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
線上閱讀森 鴎外《渋江抽斎(しぶえちゅうさい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,525 字 · 334 頁
その文章の題材を、種々の周囲の状況のために、過去に求めるようになってから、わたくしは徳川時代の事蹟を捜った。そこに「武鑑」を検する必要が生じた。
「武鑑」は、わたくしの見る所によれば、徳川史を窮むるに闕くべからざる史料である。然るに公開せられている図書館では、年を逐って発行せられた「武鑑」を集めていない。これは「武鑑」、殊に寛文頃より古い類書は、諸侯の事を記するに誤謬が多くて、信じがたいので、措いて顧みないのかも知れない。しかし「武鑑」の成立を考えて見れば、この誤謬の多いのは当然で、それはまた他書によって正すことが容易である。さて誤謬は誤謬として、記載の全体を観察すれば、徳川時代の某年某月の現在人物等を断面的に知るには、これに優る史料はない。そこでわたくしは自ら「武鑑」を蒐集することに着手した。
この蒐集の間に、わたくしは「弘前医官渋江氏蔵書記」という朱印のある本に度々出逢って、中には買い入れたのもある。わたくしはこれによって弘前の官医で渋江という人が、多く「武鑑」を蔵していたということを、先ず知った。
そのうち「武鑑」というものは、いつから始まって、最も古いもので現存しているのはいつの本かという問題が生じた。