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こんとんみぶん

渾沌未分

岡本 かの子

線上閱讀岡本 かの子《渾沌未分(こんとんみぶん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,232 字 · 33 頁

青空文庫

こせこせしたものは一切抛げ捨ててしまえ、生れたてのほやほやの人間になってしまえ。向うものが運命なら運命のぎりぎりの根元のところへ、向うものが事情なら、これ以上割り切れない種子のところに詰め寄って、掛値なしの一騎打の勝負をしよう。この勝負を試すには、決して目的を立ててはいけない。決して打算をしてはいけない。自分の一切を賽にして、投げてみるだけだ。そこから本当に再び立ち上がれる大丈夫な命が見付かって来よう。今、なんにも惜むな。今、自分の持ち合せ全部をみんな抛げ捨てろ――一切合財を抛げ捨てろ――。

渾沌未分…………

渾沌未分…………

小初がひたすら進み入ろうとするその世界は、果てしも知らぬ白濁の波の彼方の渾沌未分の世界である。

「泳ぎつく処まで……どこまでも……どこまでも……誰も決してついて来るな」

と口に出しては云わなかったが、小初は高まる波間に首を上げて、背後の波間に二人の男のついて来るのを認めた。薫は黙って抜き手を切るばかり、貝原は懸命な抜き手の間から怒鳴り立てた。

「ばか……どこまで行くんだ……ばか、きちがい……小初……先生……小初先生……ばか……ばか……」