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ぶんげいいいんはなにをするか

漱石文明論集

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《漱石文明論集(ぶんげいいいんはなにをするか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,837 字 · 70 頁

青空文庫

鹿児島から人が出てくる度に余はマードックさんはどうしたと尋ねない事はなかった。けれども音信はその後二人の間に全く絶えていたのである。ただ余が先生について得た最後の報知は、先生がとうとう学校をやめてしまって、市外の高台に居を卜しつつ、果樹の栽培に余念がないらしいという事であった。先生は「日本における英国の隠者」というような高尚な生活を送っているらしく思われた。博士問題に関して突然余の手元に届いた一封の書翰は、実にこの隠者が二十余年来の無音を破る価ありと信じて、とくに余のために認めてくれたものと見える。

下

手紙には日常の談話と異ならない程度の平易な英語で、真率に余の学位辞退を喜こぶ旨が書いてあった。その内に、今回の事は君がモラル・バックボーンを有している証拠になるから目出たいという句が見えた。モラル・バックボーンという何でもない英語を翻訳すると、徳義的脊髄という新奇でかつ趣のある字面が出来る。余の行為がこの有用な新熟語に価するかどうかは、先生の見識に任せて置くつもりである。(余自身はそれほど新らしい脊髄がなくても、不便宜なしに誰にでも出来る所作だと思うけれども)