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ぶんげいいいんはなにをするか
漱石文明論集
線上閱讀夏目 漱石《漱石文明論集(ぶんげいいいんはなにをするか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,837 字 · 70 頁
吹聴の程度が木村氏の偉さと比例するとしても、木村氏と他の学者とを合せて、一様に坑中に葬り去った一カ月前の無知なる公平は、全然破れてしまった訳になる。一旦木村博士を賞揚するならば、木村博士の功績に応じて、他の学者もまた適当の名誉を荷うのが正当であるのに、他の学者は木村博士の表彰前と同じ暗黒な平面に取り残されて、ただ一の木村博士のみが、今日まで学者間に維持せられた比較的位地を飛び離れて、衆目の前に独り偉大に見えるようになったのは少なくとも道義的の不公平を敢てして、一般の社会に妙な誤解を与うる好意的な悪結果である。
社会はただ新聞紙の記事を信じている。新聞紙はただ学士会院の所置を信じている。学士会院は固より己れを信じているのだろう。余といえども木村項の名誉ある発見たるを疑うものではない。けれども学士会院がその発見者に比較的の位置を与える工夫を講じないで、徒らに表彰の儀式を祭典の如く見せしむるため被賞者に絶対の優越権を与えるかの如き挙に出でたのは、思慮の周密と弁別の細緻を標榜する学者の所置としては、余の提供にかかる不公平の非難を甘んじて受ける資格があると思う。