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しおかぜ
潮風
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《潮風(しおかぜ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,018 字 · 25 頁
出ていらっしゃいよ。」
高橋は板場の奥から笑っており、芳枝さんと美智子は眉をひそめていた。
「はいお冷。」
そういって佐代子ほ、水の代りに冷酒をコップについできたりした。
「佐代ちゃんえらい。こうサーヴィスがよけりゃ、毎晩のみに来てやるぞ。」
「早く来なけりゃ、大入で、席がふさがってるわよ。」
どこで覚えたか、「クカラッチャ」のメロディーなんかあやしげにくちずさんで、足もとがもうふらついていた。
出口に近い一人の客が立ち上って、その拍子に椅子を倒した。その音に、佐代子はとび上って驚いたらしく、卓子につかまって息をつめた。顔色をかえていた。それから笑い出したが、気のこもらない笑い方で、やがて、美智子のところにいって、その肩につかまった。
「ごめんなさい、ね、ごめんなさい。あたし酔っちゃって……。」
しきりに詫びる彼女を、美智子は何のことか分らなくて、もてあましていた。佐代子は頬をふくらまして、ぷいと美智子の側を離れて、それからもうはしゃがなかった。
そして時間がたって、客も立ち去り、主婦の事情を知ってる高橋と美智子も帰っていったが、片野さんは浮かぬ顔付でまだ酒をのんでいた、芳枝さんも言葉少なだった。