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とうみょうのまき
灯明之巻
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《灯明之巻(とうみょうのまき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,444 字 · 47 頁
そのいずれか、とフト胸がせまって、涙ぐんだ目を、たちまち血の電光のごとく射たのは、林間の自動車に闖入した、五体個々にして、しかも畝り繋った赤色の夜叉である。渠等こそ、山を貫き、谷を穿って、うつくしい犠牲を猟るらん。飛天の銃は、あの、清く美しい白鷺を狙うらしく想わるるとともに、激毒を啣んだ霊鳥は、渠等に対していかなる防禦をするであろう、神話のごとき戦は、今日の中にも開かるるであろう。明神の晴れたる森は、たちまち黒雲に蔽わるるであろうも知れない。
銑吉は、少からず、猟奇の心に駆られたのである。
同時にお誓がうつくしき鳥と、おなじ境遇に置かるるもののように、衝と胸を打たれて、ぞっとした。その時、小枝が揺れて、卯の花が、しろじろと、細く白い手のように、銑吉の膝に縋った。
昭和八(一九三三)年一月