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もゆるほお

燃ゆる頬・聖家族

堀 辰雄

線上閱讀堀 辰雄《燃ゆる頬・聖家族(もゆるほお)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,309 字 · 144 頁

青空文庫

それは女にはちがいないが、その顔は電燈の片光りを浴びて、へんに無気味な凸凹をつくっているので、それが少女の顔なのか年よりの顔なのか私にはどうしても識別できなかった。私はふと最初の晩、ホテルの窓から顔を出していた女のことを思い出した。その時と同じように、その髪の毛だけきらきらと金色に光っていたが、その髪の恰好は今朝私が食堂で見かけた青衣の少女のそれとそっくりだった。……私はなんだかぞっとしたような気持になって、急いで部屋にはいるなり、ドアをぴたんと閉めてしまった。それをうるさい猫のせいにして。……それから私が着物をぬいでいる間中、その猫はそのドアを外から爪でがりがり掻いていたが、私がベッドに横になった時分は、もうあきらめたのか、その爪の音はしなくなった。とても疲れていて、さっきまでは眠くっていまにも倒れそうであったのに、さて電燈を消してしまうと、よくあるやつだが、急に目が冴え冴えとしてきた。そこでしょうことなし、再び電燈をつけ、今日買ってきたばかりの「プルウスト」を出鱈目に披きながら読み出した。そうしてひょっくり読みあてたのが、こんな一節であった。