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ぶっしんいちにょのかがく

物心一如の科学

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《物心一如の科学(ぶっしんいちにょのかがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,786 字 · 20 頁

青空文庫

そのものは、依然として残っている。一グラムの物質が消えると、9×1020エルグのエネルギーが出現し、その逆も成り立つのであるから、「物質+エネルギー」の量は、やはり不滅だということになる。

此処に一つ大切な問題がある。測定にかかるほどの物質が消え、巨大なエネルギーが出現するというような激しい現象について、本当は、消えた物質の量や、出て来た巨大なエネルギーの量を、精密に測定することは出来ない。むしろこれは理論的に出した比率を仮定して、現象を説明しているわけである。

結局、何か不滅のもの、或いは一定のものを求めて、それをものの本態としないことには、学問の組み立てようがない。それで、物質とエネルギーとの和を不変と見る。即ちそれを実体と見ることにしたのである。それも間違っているかもしれないが、それで原子力の利用が出来れば、充分満足すべきなのである。

現在の科学は、自然界の実体を、物質とエネルギーとの和であるとする。そういう渾然たるものが実体であって、それが、或る場合には、物質(もの)として現われ、或る場合には、エネルギー(ちから)として現われる。普通の変化、例えば薪が燃えたり、水が凍ったりする場合には、エネルギーに転換される物質の量は、あまりにも微量なために、物質だけで不変の法則が成立するように見える。