輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おぎふくうた

犀星王朝小品集

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《犀星王朝小品集(おぎふくうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 頁

青空文庫

それは筒井が約した三年めの春が訪ずれ、筒井は神仏の誓をとく日だったからだった。筒井は師走の日をせめてもの心だよりとして男の便りを待ったが、例に依ってそれは虚しい彼女の心だのみに過ぎず、あと二日寝れば正月というのに、何のたよりもなかった。まる三年のあいだ心を砕いて待っていた気苦労も、何の足しにもならなかった。しかも、貞時一家はこの春に筒井を迎えるために万端の華々しい用意に怠りないのを見ると、筒井は三年も便りがないとはいえかつて夫を持っていた身分を隠して貞時に従くことの心苦しさよりも、そんな明白な嘘はつけるものではなかった。といってそれを貞時にすなおに話するには、あまりに貞時の絶望を大きくするものだった。そんな話をきかしても貞時は許してくれるであろうが、筒井は人の心を酷たらしく悲しがらせることは、いままでに仕えた筒井として出来ないことだった。筒井はきょう一日、あともう一日というふうに詰ってゆく年の瀬に一片の便りを待つ気持でいたが、生死も定かならぬ人の便りなぞあるはずがなかった。もう凡てが終りだった。人の情けを偽ることのできない彼女は、元旦の前の日、朝早く裏戸からひそかに貞時の家を出て行った。