輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おぎふくうた

犀星王朝小品集

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《犀星王朝小品集(おぎふくうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 頁

青空文庫

」

「かかって来るか。」

答えはなく、枯木にこだました人間の声は、固い石を打ちあてるようだった。

「去られい。」

そしてその定明の声は、自分で何をするか分らない警めを、自らにも、経之にも叫びあうようなものだった。やがてそれは同様な兄経之の昂った気持と、少しの渝りのないものだ。

「汝こそ退がれ、一刻の後にはどうなるか分らないものが、汝の身に迫っていることに気がつかんか。」

「兄上の身にもそれが蔽いかかってござるぞ。」

「たわけ。」

「…………」

彼らは彼ら自身すら知らない間に、相ついで近づいた、そして近づいたということは、それが合図なように重い二人の肉体が揉みあう機会を、もう、外すことができないぎりぎりのところに追いつめていた。経之は弟の肩先をつかみ、定明は兄の胸のあたりに手をからませた。それは時間でいえば何分もかかっていなかった。

「去れというに。」

定明は突きもどされた。そこから、再び立ち向えないものが年長者にたいする、ふしぎなおそれになり、定明を竦ませ凝り固まらせた。彼はちょっと跼むような姿勢になったと思うと、突然、経之は額に重い打撲を感じた。それは定明が跼んで起きたときに、すでに用意した沓の片方が非常な速さで、経之の額に投げ飛ばされたのだ。