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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《犀星王朝小品集(おぎふくうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 頁
かれがこれほどに衝き込まれていわれたことが、殆どためしがなかった。
「額の汗はこころから他の人間を説くときにほとばしる汗なのだ、いよいよ、我々の説くことにお従いにならないなら、あなたも男も、二度と見られない悲しい不具者になることを覚悟されるがよい。」
花桐は笑ってもう対手にならなかった。こういう神巫や陰陽師のまじないの子供くさいことを信じる母も母なら、石の上に坐ってしばらくでも、かれらの思わくの中にはいった自分が可笑しくてならなかった。彼女は立ち上ると、神巫と陰陽師にむかって、かっとした大声をあげて呼んだ。
「用事はございませんでしたら、どうかおかえり下さいまし。」
「母上様の仰せによって我々はまかり越したのだ。かえれとは何事です。」
「母上はお考えちがいにあらせられたのでしょう、どうぞおかえりを――」
彼女はそういうと、彼らの傍をはなれた。こういう人事を尽すということも花桐には愚昧の極みに思われた。もしこういう陰陽師や神巫によって女の心をほぐすことが出来るようだったら、人間の愛情というものがこの世に存在しないであろう。
同じ日の同じ時刻に、上の官人の発企によって持彦は加茂の川原に連れ出されていた。