輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《犀星王朝小品集(おぎふくうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 頁
「今こそお二人のお心のほどありがたくいただきます。わたくしとても、もはやお後をおしたいするよりお礼の申しようもございませぬ。なにとぞ、お後より橘がまいるあいだ暫しお待ちくださいますよう。必ず必ず神かけて今宵のうちにでも参りとう存じます。」
彼女は手を胸にくみあわせ、瞼をなでおろして永い間そこをうごかなかった。こうなるまでに何故にもっと早く二人に逢って話をしなかったろうと、橘は、自分の袿の下にある若者の顔をこころに描いた、若者の顔はこの瞬間では一そう美しくさえ映った。
「よくしてくれた。お二人もさぞ喜んでいられるであろう。何事もいうべきことはもうない、お前の心づくしだけがお二人をおちつかせることであろう。」
「お父上様、立派なご最期をお見とどけあそばせ。」
「よく気がついた。拝み申そう。」
父はその矢痍をしらべた。
くるいなく深くも抉られた鏃のあとも、ほぼ似た鮮やかさであった。しかも、相射ちのおちついた決意は彼らの相貌に一脈の穏やかささえ、ふかくも刻まれてあった。
「立派な手なみであるぞ、橘、そちは見たか。」
「いいえ、でも、よく分るような気がいたします。」