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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《犀星王朝小品集(おぎふくうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 頁
それに天稟ともいうべき筒井の言葉づかいの高雅なことは、高い官についた人の次女であることをおもわせ、卑賤のそだちである彼に勿体ないくらいのものであった。いままでも、白い菜のほかに、彼は畑物を掠めなければ、たつきに趁われがちだった。或る夏の夕方には、布片一枚を畑物を掠めた償いに畝の上に置いてもどったこともあれば、若干の金をも眼に立つところに置いてただで掠める野のものでない証左としていた。しかし窮乏はもう布片も、若干の金をも畝の上に置かせなかった。
筒井は或る官人のもとに働くように手立てをしたが、低い官人ゆえ、ただそこで衣食するだけであった。いま彼の心をいら立たせるものは妻の衣食するところを見付けること、そこで少時待ってもらうことだった。筒井もそれは承知のうえだった。話は筒井はいつからでも低い土地がかりの官人に仕えることに決り、もう彼の心労はなかった。筒井は賑やかな笑いをたたえ、せめても、それが面白いことであるようにいった。
「おなじ時刻にそれぞれに立ちとうございます。あなたさまは都へ、わたくしは官人のもとにこの家を一緒に立ちたい考えにございます。」
それはなにか気懸りな話ではあったが、そういう申出でには愛情のおもい遣りが香のように匂うてくるようでもあった。