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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《犀星王朝小品集(おぎふくうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 頁
」
筒井は男と暮らしていたことは、女としてはいえなかった。
「どういうところにはたらいていられたか。」
「津の村の方にございます。」
「何をしていられる方?」
「官の職をのいていた方にございましたが、再び都にのぼられた方のお家につとめていたのでございます。」
「よい方であったか。」
「はい、それはもう。」
筒井はともすると変りやすい顔色を心で隠すようにした。男が立ってからもう三月になるが、便りも消息もなかった。三月といえば百日に近かった。あれほど誓いあいながら何の知らせのないのは、官の仕事になれないためであろうと、そう思うよりほかに筒井は解きようがなかった。十月十一月十二月も終り近く、あと二日でもう正月になろうとしていた。
「父上もそう申されていられるが、この家に永く勤めていられるようにお願い申す。」
「わたくしごときものでお宜しいようでございましたら、永くおつかい下さいませ。」
「みな近くの農家の者ゆえ、あなたがそれをつかいならしていただきたい。」
「はい。」
二日の後、静かな元日がおとずれた。筒井のために作られた衣裳はまるで御娘子と同じ模様の襲も青い練絹であった。