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おぎふくうた

犀星王朝小品集

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《犀星王朝小品集(おぎふくうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 頁

青空文庫

」

「衣裳があまり美しくてはわたくしのようなものでは、おかしくてなりませぬ。」

蛍は二つの薄葉の籠にほとんど一杯にとらえることができ、筒井のてのひらも蛍くさくなるほどだった。袖や履物も夜露にぬれ、筒井はちいさい嚏をしたほどだった。彼らはやっと更けた星を見上げた。

「筒井殿、もう二年も半ば過ぎたが、お身は見違えるようになられたぞ。」

「どのように見違えられますか。」

「美しくなられたと申すのだ。」

「戯れは仰せられますな。」

「嘘ではない他の人びともそう申している。こういう童のような遊びをすることもそなたがいられるからで我らあらためてお礼を申す。」

「いいえ。」

彼らは車をあとにして土手のうえを歩いて行ったが、筒井は直覚的に何か恐れに似た嬉しさが恟々として襲うて来ることを感じた。それは貞時が永い二年のあいだ筒井からの返事を待っていることであった。彼は彼と一緒に暮している安易さのためか、筒井から快い返事のあるまで、少しの乱れを見せずに彼は待っていた。

「筒井殿。」

「はい。」

「すぐ秋になり申す。そしてまた冬がおとずれて来ますの。」

「はい。」

「父上も早くそなたからお返事のあるのをお待ちのこと承知いたされるであろう。