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こぶ

犬田卯短編集 一

犬田 卯

線上閱讀犬田 卯《犬田卯短編集 一(こぶ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,259 字 · 96 頁

青空文庫

「どうしてまたそんなことに――」

田辺が訊ねると、森平は薬罐頭を一振りふりたて、漆黒の髯の中から唾をとばしつつ始めた。

「たまるもんかお前、あの大正六七年の好景気時代に、そら貸す、そら貸すで、碌な抵当もとらずどしどし有志らへ貸し出してよ、それであの瓦落くって土地は値下り、米も値下り、繭も何もかも八割九割も下っちまったんだもの――いや、そればかりならまだいいんだよ、瘤らはじめ、無抵当の信用貸ちうのが幾口何万あるか分らねえんだから……役場員だ、村の有志だっちう人間には、全くひでえ奴らよ、判一つで何百何千でも貸したっちうんだから……無論そいつがみんな、いまもってこげついているってわけさ。利子だって取れやしねえんだ。取れねえはずよ、多少土地を持っていた人間にせよ、いまでは銀行の方だって間に合うめえから、同じ穴の連中のやっている組合の方なんか見向きも出来るもんか。」

田辺の家でも、役こそしてないが、組合の創立委員の一人として、二十五口かを出資しているはずであった。いざ清算となれば、それではどれほどの補償金が背負わされるか分ったものではない。

薄氷の上に建てられた楼閣のような組合の内幕から、それに関連して、Sという大字の連中は最初から組合の機能に疑問をいだいて加入せず、主として町の銀行から融通したが、それが最近頻々として