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こぶ
犬田卯短編集 一
犬田 卯
線上閱讀犬田 卯《犬田卯短編集 一(こぶ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,259 字 · 96 頁
叫びを上げた彼は泥かきを放り出し、両手をもって押えようと駈け寄った。
「おっ母さん、早く、容れもの――俺のぼて笊――ぼて笊、早く。」
「どこだか、ぼて笊。――馬鹿野郎、そんなもの捕ったって、旨くもありもしねえ。」
おせきは言ったまま、しかし万能を振りつづけていた。
「捕えたよ、おっ母さん、早く……」
「馬鹿だな。そんなことしていねえで、この野郎、早くかかねえと泥たまってしようがあっか、こらっ、勝。」
父親にどなられても勝は、片手にしっかと小鰻をぶら下げたまま畦へ上って、そして自分が携えて来て、その辺へ置いたはずのぼて笊を探しにかかった。
陽がかんかんと照り出して来た。もう子供の勝手な行動などに構っていられなかった。浩平は満身の力を鋤簾にこめて泥をすくい上げ、おせきは男のように大きく脚を踏ん張って代田を切返した。そして由次も――彼はもう三年も前から百姓仕事に引っ張り出されていたので、半人分以上、いや大人に近いまでの仕事をやってのけたのである。
二
次の日も次の日も一家のものは同じように泥上げ、代田の切返し、そして一目散に田植の準備を進めたが、肝心の肥料がまだ手に入っていなかった。