輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
きつね
狐
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《狐(きつね)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,471 字 · 17 頁
弥左衛門は婿の顔をにらみつけた。けれどもいま怒っている場合ではないと気づき、昨夜おのれがたしかめた仔細のあらましを話して聞かせた、「……新五郎はお天守の三重へ登って、まっ暗がりのなかに坐っていたそうだ、すると頭の上の方でとつぜん、異様な叫びごえがおこり、なにか白いものが宙を飛んだという」
「しとめたのですか」
「抜き打ちをかけたがおそかった。それで元のところへ坐ってゆだんなく気を配っていると、うしろの階段をそっと忍び足でおりてゆく者がある、一段ずつ、みしりみしりと、二重へおりてゆく足音が聞えたそうだ、そこで、これはやぐら番の者のいたずらだと思い、嚇となってとびおりて来たということだった」
「まだ噂はそうひろがっていないようだ」と弥左衛門はすぐにつづけた、「だが、いまのうちに始末をつけなければ岡崎城の名聞にかかわることになるかもしれぬ、書院番のほうはわしが扱って置くから、おまえ今夜にもいって妖怪の正体をつきとめてこい、今夜でいけなければ幾晩かかってもよい、正体をつきとめるまでは帰るに及ばないぞ」云うだけ云うと、老人は返辞も待たずに立っていってしまった。
乙次郎はしばらくそのまま坐っていたが、やがて自分の居間へはいった。