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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《猫と庄造と二人のおんな(ねことしょうぞうとふたりのおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,020 字 · 131 頁
たとえば彼女は、僅か二三分の間留守にするにも、ちゃんとこうしてカーテンを締めて行くのである。のみならずこの四畳半の室内に、鏡台だの、箪笥だの、裁縫の道具だの、猫の食器だの、便器だの、さまざまなものを並べて置きながら、それらが一糸乱れずに、それぞれ整然と片寄せられて、鏝の突き刺してある火鉢の中を覗いてみても、炭火を深くいけ込んだ上に、灰が綺麗に筋目を立ててならしてあり、三徳の上に載せてある瀬戸引の薬鑵までが、研ぎ立てたようにピカピカ光っているのである。が、それはまあ不思議はないとしても、奇妙なのはあの皿に残っている卵の殻だった。彼女は自分で食い扶持を稼いでいるので、決して楽ではないであろうに、貧しい中でもリリーに滋養分を与えると見える。いや、そう云えば、彼女が自分で敷いている座布団に比べて、リリーの座布団の綿の厚いことはどうだ。いったい彼女は何と思って、あんなに憎んでいた猫を大事にする気になったのであろう。
考えてみると庄造は、云わば自分の心がらから前の女房を追い出してしまい、この猫にまでも数々の苦労をかけるばかりか、今朝は自分が我が家の閾を跨ぐことが出来ないで、ついふらふらと此処へやって来たのであるが、このゴロゴロ云う音を聞きながら、咽せるようなフンシの匂を嗅いでいると、何となく胸が一杯になって、品子も、