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ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《猫と庄造と二人のおんな(ねことしょうぞうとふたりのおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,020 字 · 131 頁

青空文庫

「そうかてお前、虐められること分っててあんな所へやれるかいな。そんな無慈悲なこと云うもんやないで。」

と、哀れッぽく持ちかけて、嘆願するような声を出した。

「なあ、頼むさかいに、そない云わんと、………」

「ほれ御覧、やっぱり猫の方が大事なんやないかいな。リリーどないぞしてくれへなんだら、わて去なして貰いまっさ。」

「無茶云いな!」

「わて、畜生と一緒にされるのん嫌ですよってにな。」

あんまりムキになったせいか、急に涙が込み上げて来たのが、自分にも不意討ちだったらしく、福子は慌てて亭主の方へ背中を向けた。

雪子の名を使った品子のあの手紙が届いた朝、最初に彼女が感じたのは、こんないたずらをして私達の間へ水を挿そうとするなんて、何と云う嫌な人だろう、誰がその手に乗ってやるもんか、と云うことだった。品子の腹は、こう云う風に書いてやったら、結局福子はリリーのいることが心配になって、此方へ寄越すかも知れない、そうなったら、それ見たことか、人を笑ったお前さんも猫に焼餅を焼くじゃないか、やっぱりお前さんだってそう御亭主に大事にされてもいないのだねえと、手を叩いて嘲ってやろう、そこまで巧く行かないとしても、この手紙をキッカケに家庭に風波が起るとしたら、それだけでも面白いと、そう思っているに違いないので、その鼻を明かしてやるのには、いよいよ