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ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《猫と庄造と二人のおんな(ねことしょうぞうとふたりのおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,020 字 · 131 頁

青空文庫

おりんは土地での嫌われ者、庄造はあの通りでさっぱり信用がなかったから、諸払いの滞りなどもやかましく催促されたものだが、彼女への同情があったればこそ節季が越せて行ったのではないか。それだのにあの恩知らずの親子が、慾に眼がくれてああ云う者を引ずり込んで、牛を馬に乗り換えた気でいるけれども、まあ見ているがいい、あの女にあの家の切り盛りが出来るかどうか、持参金附きは結構だけれど、なまじそんなものがあったら、一層嫁の気随気儘が募るであろうし、庄造もそれをアテにして怠けるであろうし、結局親子三人の思わくが皆それぞれに外れて来るところから、争いの種が尽きないであろう。その時分になって、前の女房の有難みが始めてほんとうに分るのだ。品子はこんなふしだらではなかった、こう云う時にああもしてくれた、こうもしてくれたと、庄造ばかりでなく、母親までがきっと自分の失策を認めて、後悔するのだ。あの女は又あの女で、さんざんあの家を掻き廻した揚句の果てに、飛び出してしまうのが落ちなのだ。そうなることは今から明々白々で、太鼓判を捺してやりたいくらいであるのに、それが分らないとは憐れな人達もあればあるものよと、内心せせら笑いながら時機を待つ積りでいるのだが、しかし用心深い彼女は、待つにつけてはリリーを預かっておくと云う一策を考えついたのであっ