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さるとびさすけ

猿飛佐助

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《猿飛佐助(さるとびさすけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,413 字 · 60 頁

青空文庫

「あらぬ」

と、答えた声がキンキンと若やいで、いっそいやらしかった。

「すりゃ人間か」

「人間にして人間にあらず。人間を超克した者だ。天も聴け、地も聴け! 人間は超克さるべき或る物である」

と、老人はにわかに教師口調になって、天を指したが、天井からは塵一本落ちて来なかったので、更に言葉をはげまして、然しこそこそと落着かぬ眼尻から垂れる眼やにを拭きながら、

「――余は憐れにも醜き人間共の、げす俗顔に余の凉しき瞳を汚されるのを好まず、また喧しい人間共の悪声に、余の汚れなき耳を汚されるのをおそれて、高き山の嶺より嶺へ飛行する戸沢図書虎、またの名を白雲斎といえる超(鳥)人であるぞ。さるに些か思う所存あって、今宵新手村の上空を飛行せしに、たまたまこの山中に汝の姿を見受けし故、忍術の極意を以って木遁を行いしが、最前よりの汝の働き近頃屈強なり。したが、鹿も通わぬこの山奥に若い身空の隠居いぶかし。先ず問う。何を食うて生きているのじゃ」と、問うたので、度肝を抜いてくれようと、蝮蛇を食うている旨答えると、

「日の下にあって、最も聰明にして怖しき毒蛇をくらうとは、近頃珍妙じゃ。