輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 頁

青空文庫

木戸をこわして運び出して行ってしまったのを、あとから直させたり。

寿の荷物のあったのは食堂の向いの板じき室、あの元の食堂、あの頃畳で、壁に深紅の唐草の紙が張ってあり、なべやき召上ったあの室。夏のこと故、こっちとすっかりあけ放したら、ガランと床がむき出しになって、行ってしまった感が沁々として寂しゅうございました。本当に、行ってしまった、と思って、さっぱりと何一つない大きい室を眺めます。風通りは、全くよくなりましたけれ共。普通の引越しとちがってあのひとの場合は、去り行いたのですものね。めでたく一世帯もつのならどんなに安心でしょう。それでもうちにわたし一人で、隣家の夫妻だのに手つだわれて、大さわぎで出してやれて却ってよかったわ。遠慮なくごった返せて、寿のためにうれしかったと思います、いる者は少くとも全員心を合わせ働いたのですから。しかし、かざらしのへばりかたは猛烈よ。気をつけて湯も浴びて埃をおとす丈にして入らず、自重しておりましたが、昨夜もよく眠らず。疲れすぎたのよ。手伝いがなくてへばったところへ来て、ヤレヤレとよろこび、ああやって、幾ヵ月ぶりかで割合繁く手紙もかけましたが、直ちに引越しさわぎと食い騒動で、又もや窮地です。