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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 頁

青空文庫

御賛成でしょう? 私たちにとって快適な暮しかたというものは、大体そう型は変らないのですね。自然そうなるというなりかたが、私たちの暮しから湧いて来るのだわ、結局。あんなひどい病気して、こんな眼になって、世間並ならマア避暑というところを、結局東京にいて、暑いわねとあなたに云っているのが、やっぱり自然だというのだから、自然のふところは大きいものです。

きのうは、ブランカが、自分のよろこびをあらわすとき、どんな身振りするのだろうと思いました。あの話にはブランカのそういう場合は観察してありませんね。あんなブランカだから、うれしさを抑えるなどということは、自分の好奇心をおさえかねると同じように抑えかねるのでしょう。白い毛をどんなに波うたせ、どんなに眼をキラキラさせ、尻尾をどんなに房々とゆすりながら、ロボーの見事さ、美しさに傾倒するでしょう。堂々としたロボーは、たてがみにふちどられた首をいくらか傾け、鋭い鼻と、智慧の深い眼差しで、ブランカを眺めるでしょう。ブランカが、美しいと感じる感じを抑えかねて我知らず唸るその気持は、人間の私にもよくわかります。立派な美しさというものは何と抵抗しがたいでしょう。