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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,805 字 · 40 頁
てっちゃんのおくさんの体がよくなくてね。光井の叔父上も相変らず、かっちゃん[自注4]のお嫁入りはもう二三年のばす由です。このかっちゃんと、私は虹ヶ浜へ昨年の一月行きました。それは冬の海で松林が私に多くの想像を刺戟しました。あの松林に月がさしたらどうであろうかと。そして、あなたのかりていらしたという家[自注5]を眺め。
そちらで着物はもう冬着ではむさくるしいでしょうか、まだ袷は早いかしら、夜具も、うすいのをこしらえてお送りいたしましょう、夜具は五月に入ってからでもよかろうと思います。スエ子のハガキ御覧になりましたか? では又。御元気で。
[自注4]かっちゃん――顕治の従妹。
[自注5]あなたのかりていらしたという家――顕治が大学一年の夏そこで暮した。
四月十一日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 上落合より(封書)〕
第十一信 四月十一日の夜。
きょうは、何と暖だったでしょう! きのうあなたの四月五日づけの手紙をいただき、元気になって仕事をして、ゆうべは十二時頃一旦ねて又おき、その「花のたより」と題する感想を終ろうとしたら、もうベッドに入ってからつる公がやって来て、詩の話や秋声の話やらをしてすっかり予定が変更。