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ごくちゅうしょうそく

獄中消息

大杉 栄

線上閱讀大杉 栄《獄中消息(ごくちゅうしょうそく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 57,149 字 · 114 頁

青空文庫

しかしまさかに鏡はありません。於是乎、腕を拱いて大ハイ大いに考えたのです。そしてとうとう一策を案出したのです。それは監房の中に黒い渋紙を貼った塵取がありますから、ガラス窓を外して、その向側にそれを当てて見るのです。試みにやって御覧なさい。ヘタな鏡などよりよほどよく見えます。

*

宛名不明・明治三十九年四月二日

この頃は、半ば丸みがかった月が、白銀の光を夜なかまで監房のうちに送ってくれます。

監獄といえども花はあります。毎朝運動場に出ると、高い壁を越えて向うに、今は真っ盛りの桃の木を一株見ることができます。なおその外にも、病監の前に数株の桜がありますから、近いうちにはこの花をも賞することがあるのでしょう。

月あり、花あり、しこうしてまた鳥も居ります。本も読みあきて、あくびの三つ四つも続いて出る時に、ただ一つの友として親しむのは、窓側の桧に群がって来る雀です。その羽の色は決して麗わしくはありません。その声音も決して妙なるものではありません。その容姿もまた決して美なるものではありません。しかし何だかなつかしいのはこの鳥です。

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宛名・日附不明