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げんだいしょうせつてんぼう
現代小説展望
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《現代小説展望(げんだいしょうせつてんぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 35,254 字 · 70 頁
個人と社会
近代資本主義の発展は、各方面に、個人生活を稀薄ならしめて、集団生活を打立てた。人はもはや各自の巣窟の中に別々に生活することなく、一つの集団を作って働き、行動し、娯楽する。そして個人は集団のなかに融けこんでしまう。各種の工場、商館、銀行、劇場、官庁などが、如何に集団生活を人々に強要しているかは、誰でも認めるところである。そればかりでなく、都会の街路そのものまでが、現代では、個人を無視して群集を相手にする。そしてなお、普通選挙の拡大による政治形体も各種の意見の交換混淆を助成して一つの総合的魂を作り上げる。
かくて、個人は集団の中に没してしまう。選挙団体、労働団体、職業団体などが、権力を握り、輿論が、指導の舵を取る。
かかる現代を、ル・ボンは「群集時代」と呼んだ。タルドやデュルケンを初め多くの学者は、群集心理を研究して、社会現象が特殊な性質を持ってることを明かにした。即ち社会現象は、心理学者等が研究した個人生活の現象とは全く異ったものであり、社会は個人の合計ではないことを、彼等は立証した。なおいえば、社会は個人を説明することが出来る、然し個人は社会を説明することが出来ないのである。