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げんだいにんじゅつでん
現代忍術伝
線上閱讀坂口 安吾《現代忍術伝(げんだいにんじゅつでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 頁
すると中年の男は、護衛の者に命じて、菊松の一行を二列に並んで坐らせた。
「神のイブキをかけてくれるぞウ。コウーラ。不敬者ウ」
中年の男の顔がマッカにそまった。まるで格闘するように、全力をこめて、ジダンダふんだ。ダダダッと二列に坐った一行の前まで走ると、グッと立ちどまって、のけぞるように胸をそらした。
正宗菊松はそのすさまじさにドギモをぬかれたが、それ以上の奇怪なことが起った。中年の男がダダダッと走り、グッと立ちどまって、のけぞると、護衛の若い男たちがアーッという悲鳴をあげて、ガバと倒れて、畳に伏し、手を合せて、恐怖のために身もだえて、祈りはじめた。
「マニ妙光。マニ妙光。マニ妙光」
頭の上に手をすり合わせる。怖れおののいて、声がワナワナふるえる。すり合わせる手もワナワナふるえて、そこから声がでるような秋の虫のようであった。
のけぞった中年の男が、おもむろに身を起して、前へかゞみ、
「ガアーッ」
突如として、イブキをかけた。爆心点はまさしく正宗菊松の頭上である。彼は呆気にとられて頭をちゞめたが、
「コウーラ、キサマ、不敬者ウ。魂をぬいてくれるぞう」
怒り狂った大音声がきこえ、しまッた、と思った時には、彼は力いっぱい肩を蹴られて、後列の人々の間にころがっていた。