輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ことのそらね

琴のそら音

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《琴のそら音(ことのそらね)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,985 字 · 42 頁

青空文庫

実際余は何事によらず露子の好くようにしたいと思っている。

「旦那髯は残しましょうか」と白服を着た職人が聞く。髯を剃るといいと露子が云ったのだが全体の髯の事か顋髯だけかわからない。まあ鼻の下だけは残す事にしようと一人できめる。職人が残しましょうかと念を押すくらいだから、残したって余り目立つほどのものでもないにはきまっている。

「源さん、世の中にゃ随分馬鹿な奴がいるもんだねえ」と余の顋をつまんで髪剃を逆に持ちながらちょっと火鉢の方を見る。

源さんは火鉢の傍に陣取って将棊盤の上で金銀二枚をしきりにパチつかせていたが「本当にさ、幽霊だの亡者だのって、そりゃ御前、昔しの事だあな。電気灯のつく今日そんな箆棒な話しがある訳がねえからな」と王様の肩へ飛車を載せて見る。「おい由公御前こうやって駒を十枚積んで見ねえか、積めたら安宅鮓を十銭奢ってやるぜ」

一本歯の高足駄を穿いた下剃の小僧が「鮓じゃいやだ、幽霊を見せてくれたら、積んで見せらあ」と洗濯したてのタウエルを畳みながら笑っている。

「幽霊も由公にまで馬鹿にされるくらいだから幅は利かない訳さね」と余の揉み上げを米噛みのあたりからぞきりと切り落す。