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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

線上閱讀岡本 かの子《生々流転(しょうじょうるてん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 297,521 字 · 586 頁

青空文庫

しかし、如何に好意を持つO――家でも、そう遠方の土地を沢山引取り兼ねた。ついに弥太郎は露骨にあらゆる手蔓に向けて土地を金に代える算段をとった。

耕作人は少く新に税が賦課される時代で東京近在の田畑の中には酒一升つけて無価で貰ってもらうというところさえ出来た頃のことだから弥太郎のこの算段は骨が折れた。

一方、忠一の方は兼業の金貸しを発展させて金融業の事務所を作り、小さな地方銀行まで設立させていた。忠一は実直な男で酒も飲まず煙草も喫わず、たゞ一途に働いていた。とき/″\「おれのような無趣味な男は全く損だ」とこぼしたりした。彼は弥太郎を敬愛していた。弥太郎の颯爽として失敗を物ともせず、次々と希望を湧かして来るような性質をほれぼれと眺めた。遊びも気が利き、宴席などの濶達自在な振舞いを口を極めて讃美した。

弥太郎は遂に忠一に向って、田畑を引取って金を融通して呉れるよう言出すようになった。そのときも、

「金の事は引受けたが、なにも他人行儀に田畑なぞよこさなくても――」

と忠一は断るのだが、気前を見せたい弥太郎は強いて抵当価値以上の多くの田畑を証文に書き込んだ。こういうことが二三度あって遂々百瀬家は財産整理の運命に立致った。