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せいぜんしんごのこと
生前身後の事
中里 介山
線上閱讀中里 介山《生前身後の事(せいぜんしんごのこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,804 字 · 83 頁
うちにだんだん面白くなって行った、当時我輩は金色夜叉をまだ書物では読んでいなかったと思うがその内容は或人から聞いて読みたいと心掛けていて果さず、劇で見る方が先きになったようなあんばいであった、併し、進んで行くうちに漸く感興を催して来て遂に高田実の荒尾譲介にぶっつかってしまったのだ、貫一は藤沢浅次郎であった、お宮は高田門下の山田久州男という女形であって、河井と喜多村はその頃は上方へでも行っていたか出ていなかった、赤樫満枝を女団十郎と称ばれた粂八が新派へ加入して守住月華といってつとめていた、我輩が高田を発見したのは貫一が恋を呪うて遂に高利貸となって社会から指弾され旧友に殴打されようとしてすさまじい反抗に生きている処へフラリと旧友の荒尾譲介がやって来て声涙共に下りながら旧友、間貫一を面罵するところから始まったのだ、我輩は無条件に無意識にこの役とこの俳優にグングン惹き入れられてしまった、それから次に、芝の山内でお宮の車に曳かれやがてそのお宮を捕えて変節を責める処に至って全く最高潮に達してしまった、余は実にそれまでこんな強い感銘を受けた