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せいぜんしんごのこと
生前身後の事
中里 介山
線上閱讀中里 介山《生前身後の事(せいぜんしんごのこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,804 字 · 83 頁
ようになったのは、社中の誰も彼もが皆んな一奇とするところであったが、その辺のことも書けば長いから略するとして、さて、大菩薩峠を右のような年月に於て始めて発表したのであるが、作の著手といえばもっと古いのだが発表は右の通り、余が二十九歳の時である、当時余は都新聞の一記者として働いていて傍ら小説を書いたのである、小説を書くと多少の特別の手当があり、小説の著作権から来るところの興行の収入、それから※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)絵木版付で地方新聞へ転載掲載料等の別収入もあったものである、併し余は演劇映画の上演はその頃から絶対謝絶していたから小説を書いたからといって特に目醒しい収入というのは無かったのである。
その書き出しの間もない頃に、伊原青々園君の紹介で、或る本屋から一回一円ずつで買いたいがという交渉があったことを覚えている、当時としては一回一円は却々よい相場であったらしい、大抵新聞小説などは赤本式に売り飛ばしてしまったらしい、黒岩涙香氏の如きもその探偵小説の版権は無料で何か情誼のある本屋に呉れてしまったというような有様であった。