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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《生死卍巴(せいしまんじどもえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 頁
いやいや家の構造というより、古道具類を置き並べてある、――現代の言葉で云ったならば――蒐集室の構造であろう。
しかし、それとても昭和の人間の、科学的の眼から見る時には、別に変奇なものではなかった。窓々に硝子が篏めてあって、採光が巧妙に出来ている。四方の壁には棚があったが、それが無数に仕切られていて、一つ一つの区画の面に、同じく硝子が篏め込まれてあり、その中に置かれてある古道具類を、硝子越しに仔細に見ることが出来た。部屋の板敷きには幾個も幾個も、脚高の台が置かれてあったが、その台の上にも硝子を篏めたところの、無数の木箱が置かれてあって、中に入れてある古道具類を、硝子越しに見ることが出来た。
構造と云ってもこれだけなのであった。
しかし日本のこの時代においては、硝子というものが尊く珍らしく、容易に入手することが出来ない。その硝子を無数に使っているのである。変にも奇にも見えたことであろう。その上に壁の合間などに、波斯織りだの亜剌比亜織りだのの、高価らしい華麗な壁掛けなどが、現代の眼から見る時には、ペンキ画ぐらいしかの値打しかない――しかし享保の昔にあっては、谷めて高雅に思われるところの、油絵の金縁の額などと一緒に、物々しくかけられてあるのであるから、見る人の眼を奪うには足りた。