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たざきそううんとそのこ

田崎草雲とその子

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《田崎草雲とその子(たざきそううんとそのこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,568 字 · 40 頁

青空文庫

彼の勤王論と、国家愛とは、闇斎学の研究と、勃興機運にあった、皇学派に刺戟されて、青春、藩を脱走する時からのものである。

見遁してならないのは、彼の脱藩前から、帰藩以後にまで、ひそかに結盟されていた交友である。しかもその友達は、自藩でなくて、隣藩の秋元但馬守の家中にあったのだから世間は注視していない。

木呂子退造、岡谷繁実、塩谷良幹、相場朋厚の人々だった。――そして又、秋元家と、長州の毛利藩との姻戚関係や、密接な交渉を考えてみると、疾くから、長州は土州の雄藩秋元とむすび、秋元藩は、当然、隣藩の足利の態度を見ていたに違いない。

東北諸藩の例にもれず、足利も、小藩のうちに佐幕派、勤王派、二論にわかれて、しかも、時勢のはやさから遙かにとりのこされてどっちつかずに、ただ揉めていたのである。

そこへ、彼は、帰藩した。

『なに、佐幕派と勤王派と。ばかなっ、今頃になっても、まだ眼があかぬか』

彼は、家老川上斎佐のやしきへ向って、無力と、無方針を、なじった。

川上は、とくから草雲の勤王論に、心服している一人だったが、

『弱った状態でのう』

と、煮えきらない。

『然し、御家老は、藩の指導者、何を憚って』