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いなかきょうし

田舎教師 他一編

田山 花袋

線上閱讀田山 花袋《田舎教師 他一編(いなかきょうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,097 字 · 312 頁

青空文庫

「お母、加減が悪いって聞いたが、どうだい。もういいかな」

「ああ」

「風邪だんべい」

「寒い思いをしてはいけないいけないッて言っても、仮寝なぞしているもんだから……風邪を引いちゃったんさ……」

「お母、いい気だからなア」

「ほんとうに困るよ」

「でも、お種坊はかせぎものだから、お母、楽ができらアな」

娘は黙って笑った。

しばらくして、

「お客様の弁当は、明日も持って来るんだんべいか」

「そうよ」

「それじゃ、お休み」

と娘は帰りかけると、

「まア、いいじゃねえか、遊んでいけやな」

「遊んでなんかいられねえ、これから跡仕舞いしねきゃなんねえ……それだらお休み」と出て行ってしまう。

弁当には玉子焼きと漬け物とが入れられてあった。小使は出流れの温い茶をついでくれた。やがて爺はわきに行って、内職の藁を打ち始めた。夜はしんとしている。蛙の声に家も身も埋めらるるように感じた。かれは想像にもつかれ、さりとて読むべき雑誌も持って来なかったので、包みの中から洋紙を横綴にした手帳を出して、鉛筆で日記をつけ出した。

四月二十五日と前の日に続けて書いて、ふと思いついて鉛筆を倒にして、ゴムでゴシゴシ消した。