輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

いなかきょうし

田舎教師 他一編

田山 花袋

線上閱讀田山 花袋《田舎教師 他一編(いなかきょうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,097 字 · 312 頁

青空文庫

鳥喰の河岸には上州の本郷に渡る渡良瀬川のわたし場があって、それから大高島まで二里、栗橋に出て行くよりもかえって近いかもしれなかった。清三の麦稈帽子は毎年出水につかる木影のない低地の間の葉のなかば赤くなった桑畑に見え隠れして動いて行った。行く先には田があったり畠があったりした。川原の草藪の中にはやはりキリギリスが鳴いた。

河岸の渡し場では赤い雲が静かに川にうつっていた。向こう岸の土手では糸経を着て紺の脚絆を白い埃にまみらせた旅商人らしい男が大きな荷物をしょって、さもさも疲れたようなふうをして歩いて行った。そこからは利根渡良瀬の二つの大きな河が合流するさまが手に取るように見える。栗橋の鉄橋の向こうに中田の遊廓の屋根もそれと見える。かれはしばし立ちどまって、別れて来た女のことを思った。

本郷の村落を通って、路はまた土手の上にのぼった。昨日向こう岸から見て下った川を今日はこの岸からさかのぼって行くのである。昨日の心地と今日の心地とを清三はくらべて考えずにはいられなかった。おどりがちなさえた心と落ちついたつかれた心! わずかに一日、川は同じ色に同じ姿に流れているが、その間には今まで経験しない深い溝が築かれたように思われる。