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いなかきょうし

田舎教師 他一編

田山 花袋

線上閱讀田山 花袋《田舎教師 他一編(いなかきょうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,097 字 · 312 頁

青空文庫

北川の家には母親が一人いた。入り口ですまそうとするのを、「まアまアほんとうにお久しぶりでしたね」と無理に奥の座敷へと請された。美穂子については、「あれも今年は卒業するのですけれど、意気地がなくって、学校が勤まりますかどうですか」などと言った。移転のことを聞いては「まアまアお名残り惜しい、……けれどまア貴君の身体がおきまりになって、お引っ越しなさるんですから、結構ですねえ、お母さんもさぞお喜びでしょう。薫がおれば、お手伝いぐらいいたすんですけれど、あれもこの七月には戦地に参るそうですから……」それからそれと、戦争の話やら町の話やらが続いた。母親の眼には、蒼白い顔をした眼の濁った体のやせた清三の姿がうつった。忍沼のさびた水にはみぞかくしの花がところどころに白く見えた。加藤の家には母親も繁子も留守で、めずらしく父親がいた。上がって教育上の話などを一時間ばかりもした。羽生からいますこし近いところにいい口があったら、転任させてもらいたいということをも頼んだ。石川の店では、小僧が忙しそうに客に応対していた。そこへ番頭が向こうから自転車をきしらして帰って来て、ひらりと飛び下りた。