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まちのおひめさま
町のお姫さま
小川 未明
線上閱讀小川 未明《町のお姫さま(まちのおひめさま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,941 字 · 4 頁
「いえ、そうじゃない。だれか、きっとわたしと腕をくらべるつもりで、あんなよい声で歌をうたい、琴を鳴らしているにちがいない。」と、お姫さまは申されました。
お供のものは、不思議に思って、耳を澄ませますと、やはり、松風の音が遠くに聞こえるばかりでありました。
夜が明けて、太陽が上りますと、小鳥が窓のそば近くきて、よい声でさえずりました。お姫さまは、まゆをおひそめになって、
「ああ、やかましくてしようがない。もっとどこかさびしいところへいって、住まわなければならない。」と申されました。
お姫さまは、山はやかましくていけないから、今度は、だれも住んでいない海のほとりへいったら、きっといいだろうと思われて、荒海のほとりへお移りになりました。
お供のものは、まだいったばかりの二、三日は、気が変わってよろしゅうごさいましたけれど、じきにさびしくなってたまらなくなりました。お姫さまは、やはり、歌をうたい、楽器をお鳴らしになりました。すると、ある夜、海の上に、ふりまいたような星影をごらんなされて、
「ああ、やかましくてしようがない。ああ、毎晩、星が歌をうたったり、鳴り物を鳴らしているのでは、すこしもわたしは、自分の歌や、音楽に身が入らない。