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ばんちょうさらやしき

番町皿屋敷

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,494 字 · 67 頁

青空文庫

それを着ている女のからだも一緒に揉み苦茶になって、結い立ての島田髷も根から頽れてしまった。彼女は苦しい息の下で、泣きながら男に詫びた。

「その疑いももう晴れました。お免しなされて下さりませ」

女の疑いは晴れたといっても、疑われた男の無念は晴れなかった。小石川の伯母が何といおうとも、決してほかの妻は迎えぬとあれほど誓ったのを何と聞いた。何が不足でこの播磨を試したか、何を証拠にこの播磨を疑ったかと、彼は口惜し涙をほとばしらせながら女を責めた。どう考えても彼は口惜しかった。陰りのない心を女に疑われた――それを思うと、彼は身悶えするほどに口惜しかった。

お菊も涙にむせびながら詫びた。殿様のお心に陰りのないことは、自分もふだんから知っている。それを知っていながらも、女のあさい心からつい疑ったのは重々の誤りであった。どうぞ堪忍してくれと、彼女も血を吐くような声で男に訴えた。

それでも播磨は堪忍することが出来なかった。女に疑われた、重代の宝を打割ってまでも試された――彼は男の一分を立てるために、どうしてもその女を殺さなければ我慢が出来なかった。彼は涙の眼をいからせて、女に最後の宣告をあたえた。